Twitterでも書いたけど、ワタシの手もとにもSIGMA fpがやってきた。もちろん、有頂天モードであるし、もうぞっこんである。
〆切りに追われているというのに、原稿書きの合間に合間に電源を入れてはシャッターを切って、無駄にバッテリーを消耗させては充電器の出番を増やしている。
さっさと撮りに出ろよって話なのだけれど、いろいろと大人な都合がありまして。ばたばたしているうちにずいぶん出遅れてしまった次第。待ってる人がいるのかどうかはしらないけれど、とりあえずお待たせしましたの記事である。おひまな時間にでもおつきあいいただければ幸いである。
シグマ公式サイトSIGMA fpのページはこちら。
↑カメラは小さくて軽いですけど、この画像まで小さくする必要はないのになんでこうなってるの?
SIGMA fpの発売を首を長くして待っているのだ SIGMA fpの使用説明書を読んで気づいたことなど 小さくて軽いフルサイズ!SIGMA fpがやってきた 軽さという幸せをくれたシグマ45mm DG DNが写りもおいしい1本だった件
↑SIGMA fp関連のほかの記事とfpのキットレンズの45mm F2.8 DG DN Contemporaryの実写レビュー(ソニーα7R IIIを使用)の記事はこちらです。
目次
SIGMA fpは小型軽量で動画も撮れるフルサイズミラーレスカメラだ
さて、SIGMA fpはシグマにとっては初となる非Foveon X3センサー搭載カメラであり、しかも初のフルサイズデジタルカメラでもあり、もちろん初の動画対応。しかも、がっつり本格派の動画機能が搭載されている。
Artなシネレンズを多数ラインナップする同社としては是非ともやりたかった、と言うより、やらねばならなかったチャレンジだったのだろうと思う。
ただ、そこで動画に振ったカメラを作るのもシグマらしくないよなぁ、と考えたのかどうかはわからないが、多くの一眼レフやミラーレスカメラが動画も撮れるがメインは静止画な構造を持っているのと違って、fpはどちらでもない路線を選んだように思う。
動画を撮るのに欠かせない要素、静止画を撮るのに欠かせない要素は載せる。が、動画だけのための機能や静止画を撮るのに便利な機能は省くことで、どちらにも寄せないという選択をした。
だから、「ないもの」がいろいろある。
のぞき込んで撮るスタイルのファインダーはないし、可動式のモニターもボディ内手ブレ補正もない。位相差AFやWi-Fiもない。フォーカルプレーンシャッターさえない。潔すぎるぐらいにない。
あれもこれもと詰め込んでいけば便利なカメラにはなる。が、大きくて重いカメラになってしまう。
それに、誰かにとっては、あるいはなにかをするのに便利なカメラになることで、別の誰かにとって使いにくかったり、ほかのなにかを撮ろうとするのに不便だったりになるかもしれない。
そういうのを嫌ったのかもしれない。
だから、写真と動画を撮る道具の芯の部分だけ、これ以上削ったらカメラとして成り立たなくなる。そのぎりぎりのところまで削ってしまっている。
それで「あとはお好きにどうぞ」みたいな感じ。
必要に応じて、好みに合わせて、気分次第で使いたいものだけを選んで付け加える。そういうことをするためのコアとしてfpがある。そういう感じがするのである。
もっとも、こういうことを調子に乗って書いていると、「全然違うし」などと陰で笑われたりしかねない。ので、ここらで切り上げておく。
終わんなくなっちゃうからね。
モニター撮影縛りで小ささと軽さを楽しみたい
そういえば、fpはフルサイズのミラーレスカメラで初のファインダーレス仕様なのではないかと思う。少なくとも国内メーカーではそのはずだ。
だから、接眼撮影したい派にとってはLCDビューファインダーLVF-11を組み合わせたほうが使い勝手はよくなるだろう。
シグマ自慢のArtレンズは総じて重いからLVF-11を着けて接眼撮影したほうが安定する。外光を遮断できる分ライブビュー映像は見やすくなるし、顔でもカメラを支えられるからブレにも強くなる。
が、その代わりに大きくなるし重さも増える。便利にはなるだろうけれど、fpの取り柄である小ささ、軽さをそこなってしまう。
だから、ワタシは着けないつもりでいる。
ファインダーならα7R IIIに載っているのだ。EマウントのArtレンズも持っている。接眼撮影が必要なときはα7R IIIを持っていけばいい。唯一のファインダーレスフルサイズミラーレスカメラなのだから、素のままで使うほうがいいようにも思うのである。
そういうわけで、ワタシのfpはファインダーレスのモニター撮影オンリー。そう割り切ることにした。
ただし、それだと重いレンズは望遠系はてきめんにあつかいづらくなる。なので、守備範囲は広角から軽めの中望遠まで。という心づもりでいる。
が、あくまで「つもり」であるので、いつ心変わりするかは保証のかぎりではない。
なにしろ、近視で乱視で老眼なおっさんなのだ。メガネなしでは被写体を見つけられないくせに、メガネをかけたままではモニター画面にピントが合わない。AFならまだしも、MFは完璧に無理。
MFでピント合わせをするには、いちいちメガネをはずさねばならない。老化というのは目のピント合わせ機構の機能、性能をいちじるしく劣化させるため、近くのものにピントが合わなくなったり、合うまでに時間がかかったりする。
したがって、おっさんにはモニター撮影オンリーというのは非常につらいんである。
それに加えてファインダー内蔵のカメラに慣れてしまっていることもある。
fpで撮っていても、ファインダーをのぞくつもりでカメラを顔にくっつけて構えようとして「接眼部はどこ?」ってなることもしばしばなのだ。だから、ある日突然LVF-11派に転向する可能性は十分にあるのである。
手持ち撮影ならグリップは必須。プレートも用意した
小ささ軽さが最優先などと言いながら、変形合体超合金が好きなのがおっさんの悪いところ。fpにもあれやこれやとくっつけてしまっている。
シネカメラとしてリグに組んでとかの場合は、ボディ前面に出っ張りなどないほうが都合がいいのかもしれないが、手持ちで撮るスチルカメラとしてはグリップがあったほうがあつかいやすい。手に持ったときに安定感がある。
ちなみにハンドグリップHG-11は固定用のネジを含めて実測で45gしかない。fpの軽快さをほとんどそこなわずにホールド性だけをアップできるのだから、着けたもん勝ちだと思う。
それはいいとして、ワタシ的には三脚撮影時の問題もクリアしないといけない。
数年前からのアルカスイス互換派なので、クイックシュープレートが必要なのだ。
が、今のところfp専用のプレートはまだ発売されていない。ので、汎用のを選ぶしかないのだが、サイズが小さいものだから適合するプレートがあまりない。
sd Quattroに着けているRRSのMC-LというLプレートはサイズは悪くないのだけれども、電池ブタをがっつりふさいでくれる。これでは使いものにならない。
コンパクトカメラや超薄型ミラーレスカメラ用にと持っているマーキンスP20なら電池ブタは問題ないが、机とかに置いたときに落ち着かない。レンズの重さで前に倒れるのとかは気にならないが、左右に傾いてしまうのは気分的によろしくない。
で、あれこれ見た結果、ピークデザインのスタンダードプレートがいけそうだと判断。正方形の縦横どちら向きでもクランプに取り付けられるタイプで、ネジの位置も動かせるので、マウント寄りに三脚ネジ穴があるfpにも対応しやすい。薄型なのもよさげである。
着けてみると、電池ブタを開いたときにプレートのフチに当たりはするものの、バッテリーやSDカードの交換には支障はない。
ただ、凹凸のエッジの処理が優しくないので、指が当たると痛く感じることがある。ので、三脚を持っていかないときは外してしまうことにする。ちょっと面倒くさいが、専用タイプがでるまでそういう運用でやっていこうと思う。
もうひとつ。左手側にもプレートを着けた。こちらはRRSのBP-CSという汎用タイプで、fpの高さにぴったりサイズ(公称値が0.1mmだけBP-CSのほうが長い)だし、ストラップホールもある。
端子カバーはまるっとアクセス拒否になってしまうが、ワタシの場合、充電は単体のチャージャーを使うし、データの転送もカードリーダーを使う。長時間露光のブレ対策は2秒セルフタイマーを使うのでレリーズが使えなくても不便はない。しかも、気がつくとめくれているマイク端子のカバーを押さえる効果もあったりする。
とまあ、そんなこんなでボディの3面になにがしかがくっついているという、シンプルさとかコンパクトさとかはどこ行った状態に陥ってしまっているのである。
着脱指標が見づらい位置にあるのでラインストーンでカスタマイズ
α7R IIIの動眼シール同様、少々お馬鹿っぽいなぁと思いつつ、ボディとレンズにラインストーンをあしらってみた。
ちょっと張り込んでスワロフスキーである。と言っても、手芸屋さんで買えば直径4mmほどのが20個入りで200円ぐらい。1個10円程度とお安い。金属にも使える両面テープのほうがよほど高かった。
どうしてこういうことをしたのかと言うと、fpが採用しているライカLバヨネットマウント(ネジ込み式のLマウントと区別する意味で「Lバヨネット」と書くことにした)の着脱指標の位置が好みと合わないからだ。
ライカは伝統的に着脱ボタン(ロック解除ボタン)またはロックピンをレンズを取り付ける際に合わせる指標にしているらしい。
レンジファインダーのM型は右手側の真横位置なのでまだいいが、一眼レフのRやデジタル化以降のS、Lバヨネットマウントは着脱ボタンが下寄りにレイアウトされている。だからレンズ交換時にはボディの下側から見上げるようにしないといけない。
ところが、国内のほとんどのメーカーの着脱指標はマウントまわりの上側にあって、レンズ交換時は上から見下ろすような状態で操作するのが普通だ。
で、ワタシはそちらに慣れきってしまっているものだから、ライカ式の指標の位置にとても困惑してしまう。というのもあって、自分がわかりやすいようにと勝手に着脱指標を追加してしまったわけだ。
これだとレンズ交換時に上から見ながら操作ができる。カメラを首や肩から提げているときにもやりやすい。
ちなみに、TwitterとInstagramに載せた画像はボディ側が斜め位置、レンズ側が装着状態で真上位置に貼ってあるが、取り付け時に真上から見るほうが自分的によさそうに感じたので、今はボディ側が真上位置、レンズ側は斜め位置に変更している。
予備バッテリーとチャージャーは買っておくのがおすすめ
ほかに用意したのは予備のバッテリーと充電器だ。
付属のLi-ionバッテリーBP-51の撮影可能枚数は280枚。とりあえずは1本買い足しておけばいいかなぁと思っていたのが、はずみで2本になった。まあ、誤差である。
ちなみに、単品で売っているBP-51には目印用のシールが同梱されているので、ロックレバーのある側に貼り付けておくとバッテリー交換時に向きを間違いにくい。
と言うか、向きを逆にしても奥のほうまで刺さってしまう形状のバッテリーは廃絶するべきだと思う。
バッテリーを交換するときに、入れて押し込んでから「あ、裏向きかよ!」ってなることがけっこうある。1か所でしかはまらないレンズノリあキャップ同様、こういうのは地味にイラッとするし、時間が無駄になる。
1回1回はほんの数秒のことだが、これを何回となく繰り返すのが日常な人たちにとっては大迷惑でしかない。
ぶっちゃけ、どこかの角を面取りするなりして逆の向きだと刺さらないような形状にしてくれればいいので、そのへんのご配慮を各メーカーさんにはお願いしたいのである。
なお、パワーセーブを初期設定のまま(LCDオフが1分、オートパワーオフが5分、ECOモードは「切」)で5コマの露出ブラケットと連続撮影(高速)の組み合わせの状態で手動での電源オフをほとんどやらずにフル充電からの撮影枚数が520枚。3本体制にしておいてよかったと思う。
充電器についてはこちらの記事にも書いたとおりで、fpに装填した状態でのUSB充電だと時間がかかるし、充電中にカメラの操作ができないのもおもしろくない。
その点、単体の充電器があれば待ち時間はずっと短くできるし、予備のバッテリーがあれば設定を確認したり変更したりもできる。dp Quattroシリーズに同梱されているバッテリーチャージャーBC-51なら価格も手ごろ。これも予算的には誤差のレベルだし、買っておいて悪くないと思う。
撮っても幸せなローパスフィルターレス2400万画素
実写での画質はおおむね予想していたとおり。
発色はFoveon X3センサーのsd Quattroとは少し違うが傾向としてはやはり似ている。つまり、シグマの色なわけだ。
sd Quattroほどのこってりした色ノリはない。個性が弱い分くせも少ない感じ。よく言えばあつかいやすい。シグマ入門機としてはぴったりかもしれない。
ピクセル等倍で見ると、やはりFoveon X3センサーのようなキレはない。と言っても、2400万画素機でローパスフィルターレスなだけのキレ味はある。ようはFoveon X3センサーがすごすぎるのであって、それと比べなければ問題はない。
画素数を欲張っていない分レンズのアラが見えにくいこともある。
fpのキットレンズの45mm F2.8 DG DN Contemporaryは、Eマウントのをα7R IIIでチェックしたときにはちょっと絞ったほうがいいかなぁという感じだったのが、fpだと絞り開放からいける。
実際は、遠景だと画面中央部で1/3段か2/3段絞ったほうがいいように見えるが、細かく言わなければ絞り開放でも問題はない。
四隅もα7R IIIだとF8まで絞ったほうがよさそうなのが、fpならF4でOKな感じになる。周辺光量のことを気にしないなら絞り開放でもばんばん使える。
それにRAW画像があまり重くないのもうれしい。α7R IIIのは有効4240万画素もあるからどうしても処理が重くなる。Adobe Photoshop Lightroomとかもさくさくとは動いてくれない。
それがfpのは2460万画素だから動きが軽い。パワーのあるPCを持っていないので、むしろこれぐらいのほうが快適だったりする。
あと、高感度が普通に使えるのもうれしい。
最高ISO感度が6桁なんていうのはシグマユーザーには夢のまた夢だったのが、fpは常用感度の上限がISO25600。「高ISO拡張」を「入」にすると、ISO102400まで設定できてしまう。
JPEGだと個人的にはISO3200ぐらいまでな印象だが、RAWをLightroomで見た感じではISO6400が普通に使えそうな印象。ISO12800でも悪くない。ノイズが出ていて当然のシーンなら文句ない画質だと思う。正直すごい。素晴らしい。
もちろん、ベイヤーセンサーだもんね、というのはあるにはあるが、シグマのカメラでこんな高感度が使える時代が来るなんてねぇ、などとしみじみしてしまいそうである。
※作例はすべてカラーモードはスタンダード、レンズ光学補正は歪曲と倍率色収差は「AUTO」(この2項目は45mm Contemporaryでは「AUTO」で固定となる)、回折は「入」、カラーシェーディングは「AUTO」、周辺光量のみ落ちるのが好きだったりする関係で「切」に設定している。
欠点はあるが、楽しめる要素もいっぱいなのだ
細かいことを言いはじめれば、起動が遅いとか、ライブビュー表示のタイムラグが少し気になるとか、タッチ操作のレスポンスがもうひとつよくないとかのあまりうれしくないところもなくはない。
が、そういう部分に目をつぶりたくなるぐらいにfpを気に入っている。まいってしまっていると言うのが近いかもしれない
とりあえずのセッティングはだいたい決まった感はあるが、カラーモードの微調整(特にシャープネスが初期設定のままだと少しきつい気がするのだ)も考えないといけないし、トーンやFill Lightもいじりはじめたら沼な予感がある。
そういう感じなので、fpの話はもう少しつづく予定。たぶんだけど。
↑マウントアダプターでライカMマウントのレンズを使いたい人はボディ単体で。
↑手持ちで撮るならグリップは必須です。
↑予備バッテリーは最低でも1個は必ず。
↑2,000円ほどの追加予算で充電が速くなるんだから買って損なし。
↑指が痛いのはちょっと我慢だけど、サイズ的はこれがちょうどよさげ。
↑SAマウントユーザーならこれも持っとくべきアクセサリー。サービス価格だし。
↑EFマウントのレンズを使いたい人にはこちら。
↑ローガニストの強い味方。でも、かさばるのよね。