さて、fpの発売までにはまだ少しあるけれど、シグマ公式サイトのダウンロードページにはひと足早くfpの使用説明書PDFがアップされていた。
で、気になるところとかを抜き出してメモっていたのが5000字を超えてしまったものだから、ついでだし記事にしてしまおうと考えた次第。
ただし、現物がないのでブツ撮りもできないし、もちろん作例もない。ほぼ字だけである。
そんなわけでもあるので、ほんと、おひまな方だけお読みいただければと思う。
ポチップ
目次
ゴミ対策のダストプロテクターが存在した
まず、使用説明書14-15ページの「各部の名称」を見ると、sd/SDのユーザーにはおなじみの「ダストプロテクター」がある。
ワタシが問い合わせたときは「IRガラスが……」というお話だったので、おそらくは赤外線カットフィルター兼ダストプロテクターということなのだろう。
14ページの図を見た印象では、撮像面よりもかなりマウント面寄りにレイアウトされているようで、しかもsd/SD系とは違って固定式らしい。
fpはメカシャッターレスなのでシャッターダスト(シャッターの羽根同士がこすれ合って発生する細かいゴミ)が発生する心配がない。ので、ダストプロテクターの向こう側にはゴミが入り込む余地がない。そういうことで固定式なのだろう。
ただ、沈胴式のレンズを着けたい場合は注意が(もしかしたら勇気が)必要かもしれない。
バッテリーの充電はBC-51のほうがずっと速い
20-21ページの「バッテリーを充電する」の記述によると、付属のACアダプターを使って本体充電する際の所要時間は約240分。4時間である。
「バッテリーは、バッテリーチャージャーBC-71(別売)でも充電できます」と書かれていて、たぶん、こちらのほうが所要時間は短いだろう。
ただし、このBC-71は税別12,500円する。が、dp Quattroシリーズに付属しているBC-51ならお値段は税別3,000円。大手量販店なら2,000円ちょっと(税込み)で手に入る。ので、ワタシはそちらを買うつもりでいる。
ちなみに、BC-51の充電時間は約140分(BC-71のは不明だ)。本体充電よりずっと速いし、予備の電池があれば充電中でもカメラをいじれる。
なお、「主な仕様」の「電源」のパート(158ページ)に「静止画撮影可能枚数」として「約280枚」という数字が出ている。ワタシのレベルの使い方なら予備のバッテリーは1個でよさそうな気がしている。
AFまわりの設定について
このへんの設定については52ページあたりから。
フォーカスモードは十字ボタンの上ボタン(FOCUSボタン)を押して前後のダイヤルまたは左右ボタンで「AF-S」「AF-C」「MF」を切り替える。
レンズにAFとMFの切り替えスイッチがある場合は、ボディ側ではMFが選べない可能性がある。
フォーカスフレーム(フォーカスエリア)は49点の自動選択となる初期設定の「多点オート」のほか、任意の1点でピント合わせを行なう「1点選択」、選択した1点(あるいは中央固定かもしれないが)でロックオンした被写体を追いつづける「追尾」から選択する。
1点選択時は「49点選択」と「自由移動」モードがあって、AELボタンを押すごとに切り替えられる。前後のダイヤルをまわすとフォーカスフレームのサイズを変更できる。
なお、タップやドラッグといったタッチ操作にも対応している。
ただし、中央の測距点へのリセット機能はなさそうな感じだ。また、追尾はAF-Cのときしか選択できないっぽい。
フルタイムMFが可能かどうか
56ページの「その他のフォーカス設定」で、「AF+MF」を「入」にすると「合焦後、シャッターボタンを半押ししたままフォーカスリングを回してピント調整」できる。
が、親指AF設定時にAF-ON動作なしでMF操作を受け付けてくれるかどうかは不明だ。
ちなみに、「AF+MF」機能のないsd Quattroに電子フォーカスリングの70mm F2.8 DG MACRO Artを装着した場合、「半押しAF-ON」が「切」の状態(半押しでAF作動を行なわない)ではフォーカスリングをまわしてもシカトされるが、半押ししながらフォーカスリングをまわすとMF操作ができる。AF-S、AF-CのどちらでもOKだった。
これと同じ仕様であれば、メカニカルのフルタイムMFでないレンズ(DG DN ArtやDG DN Contemporary)でも親指AF+フルタイムMFが利用できるわけだ。
ただし、拡大表示とのからみもあるので便利に使えるかどうかは今のところ不明だ。
なお、SAマウントやEFマウントのDG HSMレンズはメカニカルなフルタイムMFが可能なので、MC-21経由でこれらを使用する場合は問題なしである。
拡大表示の操作について
撮影時の拡大表示については「AF拡大」と「MF拡大」を個別に設定できるが、内容的には同じ。それぞれ59ページと61ページに説明がある。
「拡大表示」は拡大する部分を「全画面」に表示するか、「PIP」表示するかを設定する。
PIPは「ピクチャー・イン・ピクチャー」の略で、画面中央25%のエリアでだけ拡大表示を行なうもの。残りのエリアには全画面でライブビュー映像が表示されるので、フレーミングとピントの両方が見られるのがメリットだ。
「自動拡大」は、AF時は合焦後に、MF時はたぶんフォーカスリングをまわす操作で拡大する機能で、好みなどに合わせてオンオフできる。
「自動拡大時間」は自動拡大が「入」のときに拡大表示を行なう時間の長さで「1秒」「2秒」「5秒」から選択する。
なお、AF時は合焦した測距点を中心に、MF時は表示されている測距点を中心に拡大する。拡大表示中に前後のダイヤルをまわすと拡大率を4倍または8倍に切り替えられる。
手動での拡大表示はMF時は「OK」ボタン(十字ボタンの中央)を押せばいい。
AF時は「拡大中AF」機能を「入」にしておく必要があるかもしれない。これについては60ページに「OKボタンを押して拡大表示させ、+マークに被写体を合わせシャッターボタンを半押しします」と書かれている。
ので、親指AFに対応可能かどうかは不明だ。また、「拡大表示のまま撮影するので、先に構図、フォーカスフレームの位置を決めてください」という注意書きもある。
この場合は「拡大表示」を「PIP」にしておくといいのではないかと思う。
なお、AF-C時にも拡大表示や拡大中AFが可能かどうか、可能だとしてAF-C動作を行なうのか、一時的にAF-S動作に切り替わるかどうかもわからない。
親指AFのための設定について
使用説明書を見た範囲では、AF-ON動作が割り当てられるボタンはシャッターボタンとAELボタンの2つしかないようだ。だから、親指AFを使いたければAELボタンに「AF-ON」を割り当てることになる。
ちなみにAELボタンの初期設定では押すとAELして再度押すと解除となるタイプで、押しているあいだだけロックするタイプにも切り替えられる。
それと「半押しAEL」という項目もある(110ページ)。初期設定は「AF-Sのみ」で、AF-Cでもロックしたい場合は「入」を選べばいい。
ほかに、「AFL」「AFL(押す間)」「AEL+AFL」「AEL+AFL(押す間)」「LV拡大表示」なども選べる。
で、当然ながら「半押しAF-ON」は「切」に設定することになる。
ダイヤルの機能のカスタマイズについて
もうひとつ、大事なのがダイヤルのカスタマイズ関連の項目だ。
前後のダイヤルの機能は、109ページの「ダイヤル機能入換」でカスタマイズできる。使用説明書の画像が初期設定だろうし、見た感じ、そのままでOKそうだ。ただし、マニュアル露出の設定は前後を入れ替えるかもしれない。
前ダイヤル | 後ダイヤル | |
Mモード | 絞り | シャッタースピード |
Sモード | シャッタースピード | 露出補正 |
Aモード | 絞り | 露出補正 |
Pモード | プログラムシフト | 露出補正 |
「操作方向の反転」は「反転する」にする。これはマニュアル露出時に操作の方向と露出レベルの変化の方向を一致させるためだ。
普通はダイヤルを右から左に動かす操作(前ダイヤルは右回転、後ダイヤルは左回転になる)をすると、露出スケール(通常は右がプラスで左がマイナス)上の指標が左に移動する。
で、反転にすると、右から左への動きで指標も右に移動する。素直でわかりやすい。
ただし、このオプションに慣れてしまうと反転機能のないカメラで混乱することになるので、それはそれで厄介だったりする。ので、ご注意いただきたい。
ついでに書いておくと、静止画モードのときの「RECボタンの機能」を「切」ことができる。
基本的に動画は撮らないし、撮るとしても動画のフレーミングを見てから撮りはじめたい。ので、3:2比率の静止画モードの状態からいきなり動画というのはワタシ的にはありえない。
むしろ、静止画モードで誤ってRECボタンに触れて動画を撮ってメモリーカードの容量を食われかねないことのほうが問題だ。
そういうわけなので、RECボタンは動画モードのときだけ有効になるのでOKだし、本音を言えば、静止画モード時は好きな機能を割り当てられるようになるといいと思う。
QSメニューのカスタマイズについて
QS(クイックセット)メニューはソニーのファンクションメニューやニコンのiメニューなどに似た機能で、背面右手側の「QS」ボタンで呼び出せる。
登録できるのは8項目で候補は38項目ある。その中からどれを選ぶか、またどういうふうに並べるかでカメラの使い勝手も変わってくる。
今のところ、以下の6項目はほぼ確定だが、あと2項目をどうしようか悩み中だ。
- ISO感度
- ドライブモード
- 露出BKTずらし量
- アスペクト比
- ホワイトバランス
- Fill Light
候補としては、
- 測光モード
- 画質
- カラーモード効果量
- フォーカスリミッター
- LCDの明るさ
というあたり。あとは実機が手もとにとどいてからどれを選ぶかを決めて、それからどういうふうに並べるかを考えるつもりでいる。
レンズ内手ブレ補正とカメラ側の電子手ブレ補正について
SportsとContemporaryラインのレンズには全部ではないが光学式の手ブレ補正が内蔵されている。それのオンオフについての設定のほかに電子式手ブレ補正の設定もある。
光学式のほうはsd/SD系でも同じなので問題はない。新しいのは電子式のほうで、連写合成方式を採用している。
電子式手ブレ補正と言うと、撮像画面を狭めにして、ブレを打ち消す方向にフレーミングを動かす方式のほうを思い浮かべるが、fpのは連写合成してブレを軽減するタイプ。
シャッタースピードは1/4000秒〜1/4秒の範囲に、ISO感度はISO100〜ISO6400の範囲に制限される。これはちょっと残念なことなのだが、光学式手ブレ補正との併用はできない。
それと静止画モードでは画面が約5%狭くなる(合成時に生じるズレをカットするためのマージンが必要になるため)。HDR撮影やFill Light、ブラケット撮影などとの併用はできない。もちろん、画質モードがDNGやDNG+JPEGのときも使えない。
ISO感度の設定とISO感度拡張
低感度番長のFoveon X3と違ってfpのは普通のベイヤーセンサーだから、普通に高感度が使える。常用感度の上限はISO25600でISOオート時はISO6400までの範囲で自動設定となる。
「ISO感度拡張」で高感度側の「高ISO拡張」、低感度側の「コンポジット低ISO拡張」が設定できる。
高いほうはノイジーになるけど、いざとなったら使ってみてね、画質は知らんけど、というヤツ。
低いほうは複数枚の連写合成で「低感度撮影と同等の状態を」作り出すというもので、たぶん、オリンパスのライブNDと同様の機能だと思う。
設定できる下限はISO6相当なので、ベース感度のISO100より4段低い。つまり、ND16相当と考えていい。と思う。
個人的に気になっているのは「ISOオート設定」の「シャッタースピード下限」の設定だ。
これは「標準」が「1/焦点距離」秒のシャッタースピードを基準にしていて、「高速」で1段、「より高速」で2段速いシャッタースピードになり、「低速」で1段、「より低速」で2段遅くなる。
動く被写体の場合は被写体ブレを抑えるために感度を上げめにしたいし、光学式手ブレ補正を搭載したレンズを使うときは感度を抑えて画質を稼ぎたい。
そういう運用がやれる機能なのだが、これがメニューの中だとアクセスが面倒くさいから使う気がしなくなる。
sd QuattroだとQSメニューに「ISO感度」を登録しておくと、ISOオートのときは「詳細設定」から「シャッタースピード下限」にアクセスできるのだが、fpも同じ仕様なのではないかと予想している。
撮影タイミング表示と電子音について
「撮影タイミング表示」はシャッターを切ったときに「一眼レフカメラのように画面を暗くする」もので、電子シャッターだけのfpには不可欠の機能とも言える。基本的には初期設定の「入」で使うことになると思う。
ただ、ブラックアウトする時間が長いとかだとうとましいので、その場合は「電子音」の「シャッター音」を鳴らすことになる。この電子シャッター音がどういう音なのかがわからないのでちょっと心配だったりする。
ちなみに「電子音」の中には「シャッター音」のほかに「AF合焦音」「REC音」「タイマー音」がある。
fpにはセルフタイマーの作動を報せるLEDなどはない。AF補助光も省略されている(外付けストロボの補助光を利用する)。ので、セルフタイマー撮影時には電子音に頼らざるを得ない。
普通の人はセルフタイマーは記念撮影のときに使うぐらいだろうが、ワタシは電子レリーズの代わりに2秒のをよく使う。ので、光量が乏しい条件だとしょっちゅう「ピピピピ……」ってやることになる。
正直、少しばかり間抜けだと思う。ちなみにこれはsd Quattroも同じ仕様で、AF補助光はあるのだけれど、セルフタイマー時に点滅とかはしない。だからやっぱり「ピピピピ……」をやることになる。
ダメとは言わないが、あまりうれしくはない。できればペンタックスみたくアクセスランプを点滅させるとかパナソニックやオリンパスのように画面上でカウントダウン表示をするとかやってくれたらいいと思うのだが、ほんと、なんとかなりませんかねぇ。
フリッカー抑制撮影はどこ?
もうひとつ、小さなことかもしれないけど、ちょっと気になっていることがある。
ウェブサイトの「特徴/機能一覧」ページには「フリッカー抑制撮影」という項目があって、「人工光源下で発生する画像のちらつき(フリッカー現象)をカメラ側で検知し抑制します」と書かれている。
のだけれど、使用説明書の13ページの「電子シャッターについて」では「蛍光灯などのフリッカー光源下では露出ムラが起きやすいので、比較的遅めのシャッタースピードを使用してください」となっている。
【10/16追記】シグマさんからフリッカー抑制機能についてご連絡いただきましたんで追記します。
「フリッカー抑制撮影」は自動的にはたらくものでメニュー内でオフにできないのはそのためとのこと。具体的にはP、Aモード時はフリッカーが出にくいシャッタースピードに制御、またフリッカーの影響が少ないタイミングで撮影を行なう。S、Mモード時はユーザーが設定したシャッタースピードでの撮影となり、タイミング調整のみ行なうとのこと。
なお、電子手ブレ補正やHDRといった連写合成を行なう機能がオンのときはフリッカー抑制はキャンセルされる。
メニューリストを見てもフリッカーという文字列はない。PDF内を検索してもほかには出てこない。これがいったいどういう意味なのかは、実機でチェックしてみないとわからない。
そういう謎なところも読み込んでいけばほかにも見つかるかもしれないが(62ページには「スケールスケールバー」という記述があったりする修正されました^^)、キリがなくなるからこのへんで。あとは箱が無事手もとにとどくことを待つばかりである。
↓↓fpの発売が待ち遠しくてたまらない気持ちで書いた記事はこちら。
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