なぜカメラメーカーはモードダイヤルにロックをつけたがるのか?

α7R IIIのモードダイヤル

ソニーα7R IIIをいじっていて、どうにも気にくわないのが、SDカードの裏表と上下関係の問題。それからモードダイヤルのロック機構の存在である。

初代のα7Rにもα7Sにもなかったのが、どういうわけかα7R IIとα7S IIにはある。モデルチェンジのついでで追加されたのである。

そのわりに、無印のα7系は初代からII、IIIになってもロックなしである。差別されているのである。

というのはさておき、このモードダイヤルのロックボタンというものはほんとうに必要なのだろうか。と思っているのである。

ネットであれこれ調べてみると、モードダイヤルのロックについては賛否両論である。ついているのがいいのか、あるいはないほうがいいのかは悩みどころであり、簡単に解決できる問題ではない。

と思うので、少し掘り下げて考えてみることにした次第である。

どうせまた長くなるだろうから、ほんと、お暇なときにでもご笑覧いただきたい。

現行一眼レフ・ミラーレスカメラのデータを分析する

手持ちのデータによると、現行ということになっている国内メーカーの一眼レフとミラーレスカメラは全部で70機種ある。

そのうち、キヤノンEOS-1D X Mark IIやニコンD5といったハイエンド機、あるいはフジフイルムのXシリーズの多くやシグマsd Quattroなどのどちらかと言えばマニア向けの機種にはモードダイヤルがない。

また、エントリークラスの中でも下のほうの機種はモードダイヤルさえ小むずかしく感じさせるからか、モードダイヤルが省略されていたりする。

そういうのが16機種。残る54機種がモードダイヤルを備えていることになる。

で、それをロック機構があるものと、ないものの数をカウントしてみた。

モードダイヤルのロックの有無
  • ロックあり:28機種
  • ロックなし:26機種

おおざっぱに半々ぐらいなのだが、ロックつきのほうが少し多いという結果である。

が、これだけを見て単純に、ロックがあったほうがいいのだ!と結論づけることはできない。

だいいち、ロックつきが正義であるのなら、ロックのないカメラなどとうの昔に消えているはずだ。

つまり、ロックなしのカメラが半数近くあるのなら、ロックなしというのも正義なのだ。と考えられるのである。

もう少し細かく見てみよう。

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モードダイヤルの位置との関係もチェックしてみる

モードダイヤルは見やすく、かつ操作しやすい場所にレイアウトされるのが普通で、だから現行機種ではすべて上面に配置されている(Nikon 1 V1とかは背面にあったように記憶している)。

で、モードダイヤルの位置とロック機構の有無の相関関係を見てみると、こんなふうになる。

モードダイヤルの位置とロックの有無
    • 左手側 ロックあり:20機種
    • 左手側 ロックなし:0機種
    • 右手側 ロックあり:8機種
    • 右手側 ロックなし:26機種

なかなかに興味深い。

左手側にモードダイヤルがある機種は全部ロックつきである。一方、右手側の機種はロックなしが多数派を占める。

これにはおもに一眼レフの表示パネルの有無がかかわってくる。

ミラーレスカメラで表示パネルを持つ機種はまだ少ないが、一眼レフではおおざっぱな傾向として中〜上級機のほぼ必須の装備となっている。

そして、表示パネルのある機種は基本的にモードダイヤルが左手側に置かれ、そうでない機種のほとんどは右手側にモードダイヤルがある。

もちろん例外もある。たとえばニコンDfは表示パネルが小さいうえにモード数が少なくてモードダイヤルも小さいためにどちらも右手側にある。その逆に、オリンパスE-M5 Mark IIやキヤノンEOS M5のように、右手側の上面に電子ダイヤルが露出しているせいで表示パネルがないのにモードダイヤルが左手側にある機種もある。

そういった2、3の例外を除いて考えると、中〜上級機のモードダイヤルにはロックがついている。という見方もできる。

モードダイヤルの位置の違いでなにが変わる?

カメラを構えてからモードダイヤルがズレていることに気がついた、というシチュエーションを考えてみる。

たとえばの話、普段はAモード(絞り優先AE)でしか撮らないのに、ファインダーをのぞいたらSモード(シャッター優先AE)になっていた。なんてことを経験した人は多いだろう。

実際にそんな目にあったときにどう感じるかと言えば、まあ、ちょっぴりかいっぱいかは別にしてムッとくるだろう。少しため息をつくかもしれない。

ここで、モードダイヤルが右手側にあった場合のことを考えてみる。

たいていの場合、カメラを構えたままでもモードダイヤルに手が届くはずだ。

なので、カメラを構えたままAモードに変えて撮影態勢に入ることになる。が、モードが変わっていることに少しムッとするだけで、たいしたストレスは感じないだろう。

これが左手側だったらどうだろうか。

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左手側だとカメラを持ち替えないとモードが変えられない

カメラの左手側は構えたままでは指がとどかない。なので、ズレたモードダイヤルをなおすにはいったん構えていたカメラを下ろして持ち替えたりしてモードを変えることになる。それからようやく構えなおして撮影態勢に入る。

必然的に時間はかかるし手数もいる。運が悪ければシャッターチャンスをふいにすることもありえるだろう。そんな目にあったときの心理的ダメージはそれなりに大きい。

ついつい誰かに文句を言いたくなる。

というところで、さっき書いたことを思い出してもらいたい。

モードダイヤルが左手側にあるのは、多くの場合、右手側に表示パネルを持つ機種で、総じて中〜上級機である。

当然、ユーザーにはうるさ型が多い。

それなりに経験も積んでいるし知識もある。

オレが気づかないうちにモードが変わっていたのはモードダイヤルにロックをつけていなかったメーカーのせいだ、と思い至る。

そうして、サービス窓口に電話をかけたりブログに書いたりSNSで拡散したりする。

で、そういう「お客様の大切なご意見」とやらがメーカーにとどく。その結果、モードダイヤルにロック機構がつけられる。

とまあ、そういう図式になっている。と考えてまず間違いはない。

でも、ほんとにそれでいいんでしょうかね?

満足しているユーザーは文句を言わない

モードダイヤルにロックがないと、ロック機構が必要だと考える人はそのことに不満を持つはずだ。そして、メーカーに対して「ロック機構をつけてほしい」と要求する。

その声が大きいほどメーカーは早く動く。

ところが、である。

その声に応えてロックをつけるとどうなるか。

今度は逆の不満が出てくるのだ。

メーカーからすれば、ユーザーの要望に応えてロックをつけたのに、どうして文句を言われなきゃならないんだ?ってなるかもしれない。

でも、ちょっと考えれば、そうなって当然なことは誰にでもわかる。

だって、ロックなしのほうがいいに決まってる、と考えている人もいるからだ。

その人たちはロックのないモードダイヤルに不満など感じていなかった。だから声を上げる必然もなかった。満足して黙っていたのである。

それが、モードダイヤルにロックがついたものだから腹を立てる。気に入っていたものを台無しにされたようなものだから、うれしいはずはない。

ユーザーのためにやったことがアダになって、今度は別のクレームが殺到したりする。

ばかみたいな話だけれど、そいうことは案外に起きやすい。

ただ、α7R IIIのモードダイヤルにもロック機構があるということは、つまりロックありを支持する人が多かった、ということだろう。

α7R IIでロックをつけたことに対する不満よりも、ロックをつけて褒められる件数が多かった。だから、α7R IIIにもロックをつけた。と考えるのが筋だろう。

もう一度振り返ってデータを見てみる

さっきのデータをカメラの形式でわけて見てみよう。まずは一眼レフだけの場合だ。

一眼レフだけ
  • 左手側 ロックあり:15機種
  • 左手側 ロックなし:0機種
  • 右手側 ロックあり:0機種
  • 右手側 ロックなし:20機種

シンプルでわかりやすい結果である。

左手側にモードダイヤルがある機種には必ずロック機構がついていて、右手側にモードダイヤルがある機種はすべてロック機構がない。

一眼レフの場合、右手側にモードダイヤルがあるのは基本的にエントリークラスである。例外はニコンDfだけだ。

エントリークラスはコストを削ることも大事なので、なるべく部品点数は減らしたいし、可動部も少なくしたい。というのもあってロックなしが基本になっている。とも読める。

では、ミラーレスカメラはどうだろうか。

ミラーレスカメラだけ
  • 左手側 ロックあり:5機種
  • 左手側 ロックなし:0機種
  • 右手側 ロックあり:8機種
  • 右手側 ロックなし:16機種

モードダイヤルが左手側にあるのは5機種だけで、これらにはすべてロック機構がある。このうちニコンのZ7とZ6、パナソニックのDC-G9は上面に表示パネルがあって、その関係でモードダイヤルが追い出されて左手側に置かれている。そういうかっこうだ。

一方、モードダイヤルが右手側にある24機種のうちの16機種にはロック機構がない。

多くがエントリークラスだからという点に理由を求めることはできるが、中にソニーα7 IIIとα7 II、パナソニックDMC-G8やDC-GX7 Mark IIIも混じっている。

ソニーの2機種は上位のα7R系やα7S系、α9に遠慮して(と言うかさせられて)ロックが省略されている可能性もあるが、パナソニックの2機種はそうではない。

これをどう判断するか。

さっきも書いたように、モードダイヤルが右手側にあれば、カメラを構えた状態でもモードを変えることはできる。

だから、気づかないうちにズレていたとしても、構えたままでもどすことができる。

そんなに大きなストレスを受けることはないし、シャッターチャンスを失うほどのトラブルにはつながりにくいだろう。

つまり、モードダイヤルが右手側にある分にはロックなしでもたいした問題はない。そう考えることもできるのである。

右手側モードダイヤルでロックつきの8機種のこと

ややこしいのが、モードダイヤルが右手側にあって、かつロック機構がある8機種だ。

機種名をあげると、

  • オリンパスE-M1 Mark II
  • オリンパスPEN-F
  • ソニーα9
  • ソニーα7R III
  • ソニーα7R II
  • ソニーα7S II
  • パナソニックDC-GH5
  • パナソニックDC-GH5S

いずれも上級機、それもハイエンド寄りである。なので、中〜上級機はロックつき、というパターンにあてはまる。

のだけれども、もう少し事情は複雑だ。

と言うのは、オリンパスとパナソニックの4機種のモードダイヤルのロック機構にはちょっとした仕掛けがある。

ロックボタンがポップアップ式になっていて、ロックとアンロックを切り替えられる。つまり、ロックつきモードダイヤルとしても、ロックなしモードダイヤルとしても使えるのだ。

モードダイヤルのロック問題のアイキャッチ画像

オリンパスE-M1 Mark IIのモードダイヤル。α7R IIIのより少し径は大きい。

E-M1 Mark IIのモードダイヤルのロックボタン

モードダイヤルの中央にあるロックボタンが上がった状態だとロックなしで自由にまわせる。

E-M1 Mark IIのモードダイヤルのロックボタン

ロックボタンが下がった状態だとロックがかかる。モードを変えるにはボタンを押せばいい。ただし、ロック状態にするには再度ロックボタンを押す必要がある。そこがちょっと面倒くさいかもしれない。

ちなみに、オリンパスのはボタンが上がっている状態がロックなし(クリックだけのまわし放題である)、パナソニックのはその反対でボタンが下がっている状態がロックなしとなる。

併用したら間違いなく混乱するパターンである。同じマイクロフォーサーズなんだから、もうちょっと仲良くする努力をすればいいのにね、って思う。

この仕掛けのおかげで、ロックが必要なユーザーにも、ロックが嫌いなユーザーにも不満を感じさせることがない。みんな満足していて文句を言う人がいない状態だ。

もうひとつちなみにで書いておくと、パナソニックのDC-G9もDC-GH5/5Sと同じ仕様になっているし、ペンタックスのK-1 Mark IIのモードダイヤルにはロックを解除しておけるレバーが備わっている(これは初代のK-1も同じである)。

ただし、この2機種はモードダイヤルが左手側にあるので、ロックを解除しっぱなしで運用するのはちょっぴりリスキーである。そのあたりを納得して使う分にはとてもいい仕様だと思う。

で、話をα7R IIIのモードダイヤルにもどす

α7R IIIの場合、と言うか、これはα9にもα7S IIやα7R IIにもあてはまることだが、モードダイヤルの径がボディの厚みに対して小さめだ。ボディの前にも後ろにもはみ出したりしていない。

つまり、誤ってなにかに触れる、こすれる、といったことが起きにくいのである。

しかも、クリックはわりと重めな部類に入る。不用意に触ってしまったとしても簡単にはズレたりしそうにない。安全性は高いほうだ。

そのうえ、置かれているのは右手側である。運悪くセットしたはずのモードからズレてしまっていたとしても、鼻歌まじりでさっくりリカバーできる右手側にある。

これだけいい条件がそろっていて、それでもなお、ここにロックが必要か?

と、ワタシは思ってしまうのである。

もう一度書いておく。

現行の一眼レフとミラーレスカメラで左手側にモードダイヤルがある20機種についてはすべてロック機構が備わっている。

これは、カメラを構えてからモードダイヤルがズレていたことに気づいたときの心理的ダメージやタイムロスを考えればまっとうな対策だと思う。

左手側にモードダイヤルがあって、なおかつロックが嫌いだと言う人には、パナソニックDC-G9やペンタックスK-1 Mark IIがおすすめできる。ただし、ワタシ個人はリスクがあることを理解したうえで使ってもらいたいと思っている。

一方、右手側にモードダイヤルがあり、なおかつロック機構がついているのは8機種しかない。

そのうちの4機種にはロックを解除しておける仕掛けがある。ロックがないカメラと同じ運用が可能なのだ。

つまり、54機種中のたったの4機種だけ、ソニーの4機種だけが特別なのだ。例外なのである。

これはもちろん、ワタシ個人の主観であって万人にあてはまるわけではないが、ワタシ個人の本音としてはこうである。

現行一眼レフ、ミラーレスカメラのうちのソニーの4機種だけが、右手側にあるモードダイヤルをロックなしで使うことができない面倒くさいヤツなんだ。

ということを、ソニーの人にも知っておいてもらいたいんである。

まとめ

なんだかんだで結局また長ったらしい愚痴になってしまった。ここまで読んでくださった方には申し訳なく思う。

が、考えれば考えるほど、α7R IIIの(α9とかもふくめてだが)モードダイヤルにはやっぱりロック機構はなくていい。ないほうがいい。

というところでふと思いついたのだが、もしかすると、モードダイヤルが知らないうちにズレていたという人は、カメラバッグの容量が足りていないんではないか。

バッグの容量に対して機材をぎちぎちに詰め込んでしまっているせいで、バッグにぐりぐりっと押し込むときにモードダイヤルがこすれてまわってしまう。その可能性はないだろうか。

もしそうだとしたら、カメラバッグをワンサイズ大きなものに替えるなり、入れる機材を少し減らすとかするといいかもしれない。

ワタシ自身はきつきつに詰め込むのは好きではない。撮影時に出し入れがしづらくてレンズ交換が面倒くさくなっちゃったりしたら意味ないからね。だから、すとん、とおさまるスペースを確保するようにしている。

その違いがモードダイヤルのロック機構の有無を左右しているのだとしたら、それはそれでおもしろいことであるかもしれないね。うん。

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2 Comments

rh

左ダイアルは、縦位置撮影でダイヤルのある左肩を手のひらに乗せる形になり、意図しない変更がよく起きるからだと思います。

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