「初心者におすすめ……」じゃないカメラ選びをまじめに考えてみた

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前回、「初めてのカメラにミラーレスを選ぶべき7つの理由」という記事で、これからカメラを買うならミラーレスで決まりでしょ、という話をした。ただ、機種による違いもけっこう大きいし、となると結局は、カメラ選びの悩みは簡単には片づかないのである。と言うわけなので、今回はさらに突っ込んで考えてみたい。

カメラは道具であって目的ではない

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ちょっと検索すると、この手の記事はわんさか出てくるけれど、なぜか、カメラを買うことを目的にしているのが多い。

もちろん、最近のカメラはだいたい優秀なので、どれを選んでも大はずしをすることはない。だから、手ごろそうな機種をちょちょいっと選んで「おすすめ○○○」とか書いて不都合が起きることはまずない。

が、普通に考えたらこれはおかしい。なぜなら、カメラは写真を撮る道具だからだ。写真を撮るためにカメラを買うのであって、目的は撮ること。カメラはその手段にすぎない。

料理を作るために包丁を用意するのと同じ。包丁を買うことを目的にする人も中にはいるだろうけれど、普通は買っただけで満足はしない。包丁を買うことがゴールなわけじゃない。

と考えれば、もうおわかりだろう。「初心者におすすめの包丁」みたいな記事がありえないのと同じぐらい、「初心者におすすめの一眼レフ&ミラーレスカメラ」なんて記事もナンセンスだってことに。

もっとも、ワタシみたいな沼の中の人にとっては、カメラを買うこと自体が目的になっちゃうケースもちょくちょくある。が、それは悪い例だからね。普通の人は真似しちゃいけないの。わかる?

もう一度言う。カメラは写真を撮る道具。それを手に入れるのがゴールじゃない。スタートラインに並ぶことなのだ。

だから、最初に考えるべきは目標だ。

「なにを」撮りたいのか。
「どんなふうに」撮りたいのか。

撮った写真をどうしたいのか。

そういう願望。欲求。動機があるはずで、それをかなえるためにカメラを選ばないといけない

あなたはなにを、どんなふうに撮りたいですか?

これがカメラ選びのスタートであり、そのために知っておいてもらいたいことを、これから書いていこうと思う。

なにを、どう撮りたいかを考えるのがカメラ選びの王道

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たとえばの話、畑から収穫した野菜を運ぶためのくるまと、曲がりくねった山道を楽しく走るためのくるまは同じだろうか。

違うはずだ。くるまを使う目的があって、その目的に合わせて適切なくるまのかたちがある。だから、目的が違えば、選ぶべきくるまも違ってくる。

カメラだって、試合中のサッカー選手をかっこよく撮るのに向いたカメラもあれば、そういうのが苦手なカメラもある。

アイドルをかわいらしく撮るのに適したカメラもあるし、そうじゃないカメラもある。

つまり、なにを撮りたいのか、という目的にマッチするカメラを選ばないといけない、ということだ。

スポーツシーンを狙うにはピント合わせ(AF)の速さが必要だし、がしがし連写で撮れるほうがチャンスに強い。撮り手の意思に素早く反応する応答性のよさも必要だ。

ポートレートを撮りたいなら人肌をきれいに見せるのが得意なカメラを選びたい。動きながら撮ることもあるから、人物の顔や目の位置を判別して自動的にピントを合わせてくれる機能があったほうがいい。

自然の風景の美しさだけでなく、過酷さ、厳しさまで伝えたければ、緻密な描写力に加えて、雨に濡れても壊れないタフさが欲しい。

そんなふうに、撮りたいもの(被写体)を、どんなふうに撮りたいのかを考え、どんな機能や性能が必要かを検討し、それらがそろったカメラを選ばなくてはならないのだ。

と書くと大変そうに思うだろうが、実際はそれほどでもない。そんなにたくさんのカメラが世の中にあるわけではないし、高くて手が届かないものも少なくない。

予算の縛りの範囲内で、欲しい機能がなるべく多く備わっているカメラを選ぶことになるので、多くの場合、撮りたいものがきちんと決まっているのであれば、候補として残るのは2機種かせいぜい3機種だ。あとは好みやフィーリングで選べばいい。

が、漠然とした目的しか持っていない人にとっては、これはけっこう難しい。目的が定まっていなければ必要な機能、性能も見えてこないし、となれば、どれを選んでいいのやら、になってしまうのは当然だ。

で、よくわからなくなって、安いのでいいや、になってしまう。

それでもだいたいは問題ないが、正直、あまり賢い方法とは言えない。

いい道具を選ぶといい結果が出しやすくなってお得なのだ

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100円の包丁でもカレーは作れる。

けれども、切れ味のいい包丁なら、タマネギのみじん切りも手早くできるし、ニンジンの皮をむくのもらくちんだ。それに、よく切れる包丁のほうが怪我をしにくいこともある。ようするに、いい道具を選んだほうがいろいろと有利、ということだ。

同じことがカメラには当てはまるだろうか。考えてみよう。

ぶっちゃけた話、カメラは基本的にお値段次第なところがある。高ければ高いほど機能は充実しているし、性能だって高くなる。裏を返せば、けちればけちるほど機能も性能もしょぼくなる。

AFが速いカメラを選ぶと動くものを撮るときにもピンボケの失敗は減らせるかもしれない。人肌の色味がきれいに出るカメラを選べば、雰囲気のいいポートレートが撮れるかもしれない。手ブレ補正が強力なカメラを選んだら夜景もらくらく撮れるかもしれない。

もちろん、どれも「かもしれない」な話だけれど、いい写真が撮れる可能性も失敗を減らせる可能性も増えるのだからいいことずくめ。むしろ大歓迎ではないか。

つまるところ、お金を出せばいい写真が撮れる可能性が上がって、失敗写真の率が下がる。けちればその逆のことが起きる。乱暴に言いきってしまえば、高いカメラは正義なのである。

と考えれば、結論はこうなる。

出せるお金は出しなさい。

無い袖までは振らなくていいから、出せる範囲で高いカメラを買いなさい。

初心者にはオーバースペックだよね、などと心配する必要はまったくない。機能が多すぎて使いきれないとか、性能がよすぎて持てあますとか思うかもしれないが、それも気にしなくて大丈夫。

上級者にしたところでカメラの機能を全部使いきっているわけではない。むしろ、上級者のほうが使い方が固まっているので、それほど機能は使わないので、どの道機能はあまってしまうものなのだ。

それに使いはじめの時期にちょうどいい性能なら、腕を上げたらすぐに物足りなくなるだろう。最初はオーバースペックなぐらいのほうが、不満を感じるまでに時間がかかるので、買い替えのタイミングを遅らせることができる。そのほうが、長い目で見てお得な場合もある。

ようするに、あなたがまじめに写真に取り組みたいと思っているのであれば、「初心者におすすめ」なカメラを買うのは損なだけだし、その手の記事を読むメリットもまるでない。

沼歴39年のカメラ好きであるワタシとしては、そんなふうに考えるのである。

体力でカバーできる範囲のカメラを選ぶ

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写真が上手くならないいちばんの原因が、持ち歩かないことだ。

カメラは写真を撮る道具であり、それを使いこなしたいなら、まずはどんどん使うこと。使って使って使い込んで、それでだんだん腕を上げていく。

できるだけ毎日持ち歩いて、毎日なにか撮ってほしい。そのためには、持ち歩くのが苦にならない小ささ、軽さが大事ということになる。ようは、体力的にしんどくない範囲のカメラを選びなさい、ということだ。

機能や性能を追求していけば、機械はどうしても大きく重くなっていく。当然、持ち歩くのは面倒になる。けど、持ち歩かなければ写真は撮れないわけで、撮らなければ上手くもならない。というふうになるのがいちばんもったいなくてばからしい。

だから、たとえお金がありあまっていたとしても、欲張りすぎてはいけない。超お高いカメラは本体だけで1.5kgとかあったりするし、それにレンズもつけたら2kgを超える。暑いからって水分補給のために2リットルのペットボトルを持ち歩きたくないでしょ? 重いもんね。

ようは、カメラも体力に合わせて選ばないと、持ち出す機会が減って撮らなくなる。結果、「スマホでいいじゃん」ってなっちゃうわけ。

そうならないために、大きさ、重さが苦にならない範囲で選びましょう。そういう話。

おおざっぱには、「初心者におすすめ……」な記事でおなじみのエントリータイプより、ひとつかふたつ上のクラスを狙うといい。このあたりなら、大きさも重さもそれほど強烈ではないし、初めての人にもなじみやすいように気楽に使えるフルオートモードもある。マニアックな人向けクラスのカメラにありがちな小難しさがないぶんあつかいやすい。

お値段的にも手が届かなくはない範囲におさまっている。買うときはちょっと勇気がいるが、自分への投資だと思えばいいだけだ。

まとめ

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以上をさっくりまとめると、

・まじめに写真に取り組みたいなら初心者向けは選んじゃだめ
・なにをどう撮りたいかを考えて機能や性能を選ぶのが常道
・機能や性能がいいカメラほど撮りやすくて失敗も減らせる
・だから、無理をしない範囲で高いカメラを買いましょう

沼の中の人っぽく言うと、

という感じ。これはこれでちょっとヤバいけど、それぐらいの気持ちでカメラを選ぶのがよいのはたしかなので、ほどほどに参考にしてもらえればと思う。

次回は、具体的に機種選びを考えてみたいと思う。

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