ワタシがジッツオのオフセンターボール雲台を全力で偏愛する理由

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ジッツオのオフセンターボール雲台が大のお気に入りである。

これまでに使ってきた雲台の数が多いとかではないが、その中で、いちばん自分の好みに合うのがこれ。オフセンターボール雲台だ。

普通のボール雲台は、上から見た中心にボールがあるのに対して、オフセンターボール雲台は、ボールが雲台の中心からずれた位置にある。それで「オフセンター」なわけで、だからジッツオには「センターボール雲台」というカテゴリーが存在する。

ワタシが使っているのはかなり前に買った「G1275M」という2型のネジ止めタイプだ。現行だと「GH2750」に相当する。写真を見ればわかるとおり、かなり独特なかたちをしている。こういうスタイルの雲台は、たぶんだけれど、ほかにない。ジッツオだけだと思う。

今回のお題はジッツオのオフセンターボール雲台だ。ワタシが使っているのは「G1275M」というモデル。ちなみに、末尾の「M」はマグネシウム合金製であることをあらわしている。

ジッツオでいうセンターボール雲台(ようは一般的な構造のボール雲台のことだ)は上から見た雲台の中心にボールがあって、そのボールの真上にカメラを載せる台座がある。ところが、オフセンターボール雲台では、ボールの位置は中心からずれていて、なおかつカメラを載せる台座はボールの真上ではなく、雲台の中心に寄せてある

だから、見た目としては、雲台の中心のほぼ真上にカメラが載っているかっこうになるのだが、重さを支えるボールを基準に見れば明らかにおかしい。

重いものを頭の真上に持ち上げて支えるよりも、斜め上に腕を伸ばして掲げ持つようにするほうがつらいのと同じで、雲台にとってもしんどいはずだ。

そのうえ、ボールのサイズもあまり大きくない。これも不利な点だ。

ボール雲台は、乱暴に言ってしまえば、ボールのサイズが大きいほど固定する力は強くなる。なので、ボールのサイズが大きくしづらいデザインにするのはいいことではない。どうしたって、荷重に対して弱くなるからだ。

実際、ワタシが使っている「G1275M」にしても、現行の「GH2750」にしても、ともに2型で耐荷重は5kg。一方、センターボール雲台の「GH1382QD」は耐荷重14kgだ。ワンクラス下の1型であるにもかかわらず、である。そのせいか、ほかのジッツオの雲台に比べると、世間の評価はあまりよろしくない。

カタログとかに載っている図や写真を見ると、この載せ方が標準的らしい。見た目としては、カメラの重心が三脚の中心と重なっているが、ボールからすれば斜め上に重いものが載るわけだから、けしていい案配ではない。

買ってからだいぶ経っているので、スレて塗装が薄くなっていたり、剥げていたりもする。見てわかるとおり、変な位置にボールがある。サイズも小さい。銀色の小さなノブがパンロックで、奥側の大きいノブがボールロックだ。

カメラをこういうふうに載せると、レンズの光軸をボールの真上に持っていくこともできる。これなら左右の不均衡は解消できる。

こんなふうにカメラの位置を後ろ方向にずらすと、重いレンズをつけたときの前後のバランスを改善できる。

三脚座のない望遠レンズを着けるときはこんな感じにすればバランスはとれる。剛性の問題は残るけど。

ボールを保持しているソケットの部分は、本体部分とは独立していて、前後方向に回転できるようになっている。

こちらはカメラを前側に倒した状態。

これがカメラを後ろ側に倒した状態。

カメラを左に傾けた状態。このセッティングだと縦位置でグリップが上になるが、本体部分を180度パンさせればグリップを下にもできる。

が、ワタシの場合、最初に手に入れたボール雲台がジッツオの「#220」というオフセンターボール雲台だったものだから、このかたちに対する違和感だとか抵抗だとかはまったくない。ようは刷り込みがうまくいってしまったわけで、ワタシ的にはむしろこちらのほうが普通であって、一般的なかたちのボール雲台のほうがかえってあつかいづらい。

たとえば、一般のボール雲台で俯瞰撮影(前下方に向かう、うつむきアングルのセッティング)中に、横位置から縦位置に切り替えるには、パンロックとボールロックの両方をゆるめて左右どちらかに90度旋回させてから、カメラを縦向きにする必要がある。

操作の手間自体はどうというほどではないが、本体部分が90度回転してしまうために、操作するべきレバーやノブの位置も変わってしまう。アングルの微調整をするのにロックをゆるめようと手を伸ばして、レバーが見つからなくて、あ、こっちじゃねぇのか、みたいなことがちょくちょく起きる。

これが意外にストレスなのだ。ということを、オフセンターボール雲台をいじっていると気づかされる。

普通の構造のボール雲台で俯瞰気味のアングルにセットした状態。この状態から縦位置に切り替えようとすると……

パンロックとボールロックの両方をゆるめて、本体部分を90度パンさせて、カメラを縦にする、という手順を踏むことになる。横位置のときとはロックレバーの位置が変わっていることに注目してもらいたい。

ワタシが使っている「G1275M」や、現行の「GH2750」などには、ボールを保持する部分が本体部分に対して前後方向に回転する「ローテーティングソケット」機構が採用されている。上の画像のようにカメラを載せた状態では、前後方向のティルトを、この「ローテーティングソケット」が受け持つようになっている。

「ローテーティングソケット」とボールの動きを組み合わせることで、横位置の俯瞰の状態から、すんなりと縦位置に移行できる。

同じことをやるのに、一般的なボール雲台だとパンロックとボールロックの両方を操作しないといけなくて、しかも操作部の位置も変わってしまうのに対して、オフセンターボール雲台ではボールロックだけを操作すればよくて、操作部の位置が変わらない。追加の微調整が必要なときも素早く操作できる。

同じことをオフセンターボール雲台でやってみる。まずは横位置。

ボールロックをゆるめてカメラを左に倒す。それだけ。手数も少ないし、なにより操作部の位置が変わらないのがありがたい。カメラの位置が三脚の中心から離れてしまうのが気になる点だが、ずっしり級の機材でなければだいたい大丈夫だ。

センターポストの下端に雲台を取り付けてローアングル撮影する際も、一般的なボール雲台だと横位置にするにはカメラの上下を逆さまにしないといけないところを、オフボール雲台なら普通にセットできる。カメラを載せる台座が雲台のベース部分にぶつかってしまうので、完全に水平にするには三脚側で少し傾けてやらないといけないのはちょっと面倒だが、上下逆さまのカメラを操作する不便さに比べたらはるかにましだ。

センターポストの下に雲台が取り付けられたり、逆向きに差し替えられるタイプだと、こういうローアングルセッティングができる。が、カメラが逆さまになるので操作はしづらい。スマートフォンでリモートライブビューしちゃうという手もあるが。

それがオフセンターボール雲台だとこうできる。地面すれすれにはできないにしても、カメラの向きが普通なので、普通に快適に撮れる。ただし、カメラを載せる台座が雲台のベース部にぶつかるので、三脚側を少し傾けておく必要がある。

もうひとつ。カメラの位置の微調整が、雲台の操作だけでやれるというのもある。

カメラを載せる台座部を外側に振ってセットすると、カメラの位置を、三脚の中心から8cmちょっとずらすことができる。載せるカメラと台座の角度の関係も自由に変えられるので、三脚の中心から半径8cmの円内の好きなところにカメラをセットできるということだ。

もちろん、思いどおりの位置にスムーズに動かせるようなものではないので、素晴らしく便利とかではないが、それでも、三脚を動かさずにカメラ位置を少しだけ変えたいときには案外役に立ってくれる。接写時の8cmはかなり大きいので、わりとありがたかったりするのだ。

雲台側だけでカメラの位置を変えられるのも、オフセンターボール雲台のおもしろいところ。これはいちばん後ろに引いたセッティング。

それをこんなふうに、三脚は動かさずに、雲台だけでカメラの位置を変えられるわけ。

平らな床の上なら三脚ごと移動させたほうがやりやすいだろうが、野外だと数cmだけ移動させるのって案外に難しかったりする。そういうときに便利なのだ。

モニターの画面を見てもらえば、接写時の倍率調整に利用できるのもわかると思う。本格的なスライダーとかとは比べものにはならないが、雲台だけでこういうことができるのは間違いなく便利だ。

ここでは前後方向にだけ動かしているが、左右方向にももちろん動かせる。なので、被写体と背景の位置関係を少しだけ変えたいときとかにも利用できるのだ。

とまあ、いいところばかり見て足もとをすくわれないように、もう一度書いておくが、オフセンターボール雲台が、剛性や耐荷重の部分では不利な構造をしているのはたしかで、そこを問題視している人も少なからずいるし、実際、これを愛用しているワタシ自身も、もうちょっとなぁ、と思うことはよくある。そういう製品である。使い勝手も一般的なスタイルのボール雲台とは違う部分があるので、なじめない人もいるらしい。

ようは万人向きではないということだと思う。ではあるが、ワタシ個人としては、カメラ好き、写真好きにはもっと注目してもらいたいと思う製品である。あまり重くない機材を載せるぶんには、一般的なかたちのボール雲台ではけして味わえない自由さ、快適さが楽しめる雲台だと思うのだ。

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