SIGMA fpが最新ファームウェア4.00でじんわり進化したよ

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4月20日にSIGMA fpのファームウェアVer.4.00が公開された。

多画素タイプのfp Lは1月27日にファームウェアVer.2.00が公開されていて、そちらに新しく加わったのとほぼ同じ内容がfpにも反映されたかっこうだ。

そのVer.4.00も公開されてからもう1か月ほど経っていて今さら感たっぷりだったりするが、個人的にかなりうれしかった項目もあるので、そのあたりを重点的に紹介してみようと思う。

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ファームウェアVer.4.00で変わったところと追加された機能

細かい部分は公式サイトのファームウェアダウンロードページをごらんいただくことにして、まずはざっくりと更新内容を確認していく。

  • フォルスカラー機能の搭載=画面内の明るさに応じた色分け表示で露出状況が把握しやすくなった
  • フォーカスリング制御機能の搭載=フォーカスリングの操作に対する反応を「リニア」「ノンリニア」から選べる。「リニア」選択時は無限遠から至近距離までのフォーカスリングの回転角も選択できる
  • STILL/CINE連動設定機能の搭載=STILLモードとCINEモードとで露出関連の設定を連動させるかどうかを選べる
  • 「カスタムボタンの機能」に割り当てられる項目の追加=任意のボタンに「スクリーンショット」と「フォルスカラー」を割り当てられるようになった
  • セルフタイマー、長時間露光時のカウント表示機能の追加=セルフタイマー作動中と長時間露光時の残り時間、バルブ撮影時の経過時間が表示されるようになった
  • STILLモードでの撮影画面にレンズ情報を表示できるようになった=従来はCINEモードのみだったレンズの焦点距離と撮影距離の情報がSTILLモードでも表示できるように仕様が変わった
  • 動画のファイル名にクリップ番号が追加=動画のファイル名の形式が「カメラID・リール番号クリップ番号撮影日」に変更された

なお、フォーカスリング制御で「リニア」が選べないレンズもある。公式サイトのよくあるご質問「リニアフォーカス / ノンリニアフォーカスとはどういう機能ですか?」ページから対応レンズの一覧表(PDF)をダウンロードできるので、そちらをごらんいただきたい。

ワタシ的お気に入り機能と設定について

ここではfpのファームウェアVer.4.00で個人的に「やったね!」と感じている項目についてもう少し詳しく説明する。うまく活用できる方法があれば取り入れてもらえればと思う。ついでに、設定方法についても触れる。

STILLモードでレンズの焦点距離と撮影距離の表示が可能になった

交換レンズのレビュー記事だとズームの特定の焦点距離での解像感だったりボケ具合だったりがわかる作例が必要になることが多い。たとえば、24-70mmズームの焦点距離別とかね。

基本的にはズームリングの数字で合わせるしかないんだけれども、目盛りもクリックもないから、合わせたい焦点距離にきちんと合わせられるかどうかは運次第。あとでExif情報を見ると、35mmにしたかったのが「37mm」になっていたり、28mmに合わせたつもりのが「26mm」だったりとかもままある。

これが気持ち悪い。紙媒体ならまだしも、ウェブ媒体だと画像をダウンロードして見ることもできるので数字が合っていないことがもろにバレる。

小さいことと言えば言えるし気にしない人も多いと思うが、

「こいつ、ずさんな仕事してやがんなぁ」

などと思われるのもおもしろくない。

ちなみに、fpはCINE(動画)モードだとレンズの焦点距離や撮影距離を常時表示できたから、焦点距離をきちんと合わせたいときはCINEモードに切り替えてズーミングして、それからSTILL(静止画)モードにもどして撮影する、という手順を踏んでいた。

やればできることをやらずにすませてしまったときの気持ちの悪さは長く残る。それを考えれば撮影時にひと手間かける意味はある。とは言え、面倒くさいものはやはり面倒くさい。

その面倒くささが、ファームウェアVer.4.00で軽減されたのだからうれしくないはずがない。というわけだ。

設定は「SYSTEM」メニューの2ページ目。「ディスプレイモード設定」で「カスタム1」から「カスタム4」のどれかに「レンズ情報」を追加するだけ。「焦点距離」のほかに「撮影距離」「焦点距離+撮影距離」も選べる。

ワタシの場合、「カスタム1」はシンプルモード。「グリッド線」の「16分割(白)」だけにしてある。

「カスタム2」が常用する標準モード。グリッド線に加えて「情報表示」の「最小」と「水準器」、それから白飛びチェックのために「ゼブラパターン」の「ハイライト」も表示している。

「カスタム3」にはさらに「輝度レベルモニター」の「ヒストグラム」を追加。それから新設の「レンズ情報」で「焦点距離+撮影距離」もオンにした情報量多めの画面になっている。

とまあ、こんな感じ。「カスタム4」をオンにする手もあったが、画面数が多くなるのもうっとうしいし、しばらくはこれで使ってみるつもりでいる。

今まではCINEモードと行ったり来たりしないといけなかったのが、今回のアップデートのおかげでディスプレイボタンを押すだけの操作ですむようになった。ありがたいことである。地味だけどね。

STILLとCINEの両モードで個別に露出を設定できる

これもかなり地味なようでいて、人によってはすごく大きな変更なのかもしれない。

ワタシ個人はほとんど動画は撮らないのであまり実感はないのだけれど、静止画と動画とで露出の決め方、考え方がずいぶん違うのだという知識は一応ある。

たとえば風景が相手なら、静止画だと画質が最優先だから低感度でブレないように撮るのが基本。ブレさえしなければシャッタースピードは5秒でも10秒でもかまわない。

ところが動画の場合、シャッタースピードはフレームレートより遅くなってはいけないし、絞りも開ければいいってわけにはいかない。必然的に感度は高めにしないといけないし、露出モードだって同じですまない場合も多いだろう。露出値の設定もそれなりに違ってくるはずだ。

が、今までのfpはSTILLモードでもCINEモードでも露出関連の設定は基本的に共通で、だからモードを変えるたびにいろいろといじらないといけなかった。

まあ、静止画と動画の両方を撮るすべての人がそういう苦労をしてきたのかどうかは知らない。とは言え、ほぼ門外漢のワタシが軽く想像しただけでもそこそこに辛気くさそうなのはわかる。大変だよね。

それが今回のアップデートでどうなったかと言うと、STILLモードとCINEモードとで露出関連の設定を連動させるかどうか選べるようになった。STILLモードとCINEモードで露出モードや露出値を別々に決められるようになったわけで、モードを変えるのと同時に設定をあれこれいじる手間が解消されたということ。

で、設定はさっきと同じく「SYSTEM」メニューの2ページ目。「STILL/CINE連動設定」を「切」にすればOKだ。

少人数+カメラ1台で静止画も動画も撮るという人にとっては見逃せない改善だろうと思う。めでたしめでたし。

フォーカスリングの特性を選べるフォーカスリング制御

今どきのミラーレスカメラ用レンズはフォーカスリングが電子式になっていてレンズの中のピント合わせで移動する部分(フォーカス群)とは機械的につながっていない。

そのおかげで、フォーカスリングは回したときの感触のよさだけを追求できるようになったわけだが、同時に回すスピードによってピントが移動するスピードを変化させる手法も可能になっている。

速く回せばスピーディーに、ゆっくり回せば細やかにピントを動かせるこの手法は「加速度式」や「ノンリニア」などと呼ばれていて、慣れさえすれば指先だけでピントの動きを自由自在にコントロールできる。

が、昔ながらのMFレンズの感覚のままだとちょっと落ち着かない仕掛けでもあるらしい。なにしろ、「このへんまで回せばこれぐらいの撮影距離」というのがまったくつかめないのだ。長年積み重ねてきた経験が完全に通用しなくなるのだからわやくちゃなのだ。

というわけで、フォーカスリングの回転角とピントの移動量の関係が固定的な「リニア」の復活となった次第である。

設定は「SHOOT」メニューの4ページ目の「フォーカス」に入って3ページ目にある「フォーカスリング制御」で「ノンリニア」か「リニア」かを選べばいい。

なお、「リニア」を選んだ場合は「回転角」で無限遠から至近距離までのフォーカスリングを回す範囲を細かく設定できる。たとえば、45mm F2.8 DG DN Contemporaryであれば、「回転角」は270度(3/4周)から720度(2周)の範囲というふうにレンズによって設定できる範囲が違っていて、好みに合わせられる。

ただし、明るいレンズや望遠レンズの多くは「リニア」が選べない。被写界深度が浅いのでピントのステップ幅によっては正確なピント合わせができなくなるかもしれないから、ということらしい。

そのへんも考えると、「このレンズだけリニアにできればあとはどうでもいい!」というこだわりがないのなら、どのレンズを着けても全部「ノンリニア」で統一できるほうがややこしくなくていいんじゃないかという気もする。まあ、好みの問題もあるけどね。

なお、「リニア」が選べないレンズはこちらのページにあるリンクから一覧表のPDFがダウンロードできる。アップデートしてから、「あれれ?切り替えらんねーぞ」とあわてずにすむように前もってチェックしておくことをおすすめする。

セルフタイマーや長時間露光時のカウントダウン表示が追加

実のところワタシ個人は、今回のアップデートのいちばんの目玉がこの項目だと思っている。

なにしろ、fpにはセルフタイマーランプやAF補助光というものがない。だから、電子音をオフにしてしまうと、セルフタイマーがちゃんとスタートできたかどうか、いつシャッターが切れるのか、というのがまったくわからない。

カメラにもよるのだけれど、シャッターボタンを押したつもりがちゃんと押せてなくてセルフタイマーが作動しない、というトラブルはちょくちょくある。なのでもし、セルフタイマーの作動を知らせる機能がなにもなかったら、押したつもりで2秒なり10秒なり待って、それでようやく「あれ?」と思って押しなおしつつ盛大な溜め息をつくことになるわけだ。

が、fpにはピカピカ点滅するLEDのような見た目でわかる仕掛けがない。なので電子音を鳴らす設定にしておかないといけないのである。

そうすると、セルフタイマーを使うときには必ず「ピピピピピピッ」と音が鳴る。

これが記念写真を撮るようなシーンなら問題はない。と言うか、むしろないと困るのだが、電子レリーズ代わりに2秒のセルフタイマーを使うときにも「ピピピピピピッ」と鳴るのは案外にうっとうしい。

1枚撮るだけなら我慢もできるが、仕事でやるときはそれなりに枚数を撮る。たとえば、ISO感度の比較作例とかだと感度1段ごとに露出を変えて何枚かずつ撮る。

fpの場合、高感度側の拡張範囲も含めてISO100からISO102400まである。つまり、11ステップ。これの露出違いを3枚ずつ撮るとすると、それだけで33枚。つまり、「ピピピピピピッ」を33回繰り返すことになる。正直、かなりうっとうしい。

まあ、電子レリーズを使えばいいだけだったりはするのだけれど、この仕様変更のおかげで夜でも静かに撮影できるようになったのはとてもありがたい。通行人から冷たい目で見られることも減るだろう。と思うとかなり幸せなんである。

それと、シャッタースピードが遅い条件で、露光時間の残りがわかるようになったのも助かる。

今までは時計とにらめっこでもしていないといつ露光が終わるのかわからなかったのが、新ファームだと露光が終わるまでの待ち時間が画面上で確認できる。

また、バルブ撮影時には露光がはじまってからの経過時間が表示されるので、ストップウォッチやキッチンタイマーを使わなくても正確に露光時間を調整できるようになった。

こういうのは写りにまったく影響しないからかあとまわしにされたり無視されたりしがちなのだけれど、使ってみると「なんで今までなかったんだろう」と感じられる改善だと思う。ほんと、ありがたいのよね。

なお、この項目は仕様が変わっただけで設定を変更する必要はない。

ご要望いただいたので、全部入りのQRコードを上げておく。Ver.4.00以外の設定については以下の記事を参照していただきたい。

SIGMA fpファームウェアVer3.00公開記念!北村式カスタマイズを紹介するぞ

地味に見えてしっかりパワーアップしたVer.4.00

さて、SIGMA fpのメジャーアップデートも今回で3回目。Ver.2.00やVer.3.00のときのような新鮮さや驚きはなかった気がする。が、使ってみるとこれが案外にいいはたらきをしてくれる。

カットごとにきちんと露出を管理したいようなケースならフォルスカラーはとても役立つだろうし、それを通常の画面と素早く切り替えられるようにカスタムボタンに割り当てられるのも合理的だ。

地味なようでいて実はしっかりパワーアップしてきているぞ、という感じ。つい、よしよしって撫でちゃうんである。

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3 COMMENTS

とも

バージョン4のQR Codeも載せてくれるといいなと思いました。
よろしくお願い致します。

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北村智史

遅くなりましたけど、QRコードあげておきました。お待たせしてすみません<(_ _)>

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