このブログでも何度か書いているが、ワタシは親指コンティニュアスAFを愛用している。
と言うのは、このセッティングだけでほぼすべてのシーンに対応できるからだ。
動く被写体にもいけるし、動かない被写体にも使える。AFではピントが合いづらいときにもスムーズに対処できる。
しかも、切り替え操作はいっさい不要。親指のボタンを押すか押さないか、たったそれだけでほとんどのシーンをこなせてしまう。それが親指コンティニュアスAFの強みなわけだ。
もっとも、世の中には親指AFが嫌いでたまらない、とおっしゃる方もおられよう。そういう人にまで無理にすすめるつもりは毛頭ないが、ワタシ的にはピント合わせのためのセッティングとしては最強だと思っているぐらいなので、一度ぐらいは試してみて損はしないはずだ。
目次
どういう状態が「便利」なのかを考えてみる
さて、ワタシのカメラの設定についての基本ポリシーは、撮影時の設定変更の手間をなるべく少なくすること、である。
シーンや被写体などに応じていろいろな機能を使いわけられるのは便利なようでいて、実は切り替え操作を行なわないといけないという別の不便を背負い込んでしまっているのだ。
ワタシ的には、いちいち切り替え操作をしなくても柔軟に臨機応変にさまざまなシーンに対応できること、そういう状態を「便利」だと考えている。
中にはしようのないものもある。
たとえば、三脚に載せたときに手ブレ補正をオフにするのは、現状、ほとんどのメーカーが推奨していることだ。これも正直言って、不便だと思うし、面倒くさくもある。のだけれども、今のところはユーザーが切り替え操作をしてやらないといけない。
こういった、避けられない切り替え操作がいくつも残されているのが現状である。
その点、AFはどうだろうか。
ワタシ的にはてんでダメだと思っている。
どんなふうにダメなのかを説明しよう。
切り替え操作なしで遊ぶ子どもを撮れないのは不便!
たとえば、公園で遊んでいる我が子を撮るときのことを考えてもらいたい。
なにが楽しいんだか、歳を取るほどにわからなくなっていくわけだが、小さい子どもは元気いっぱいに走りまわるものである。
そんな子どもにピントを合わせつづけるにはコンティニュアスAFが必要だ。
子どもは気まぐれなので、右に行ったかと思えば左に向きを変えたりもする。動きものを撮り慣れている人は困らないだろうが、ワタシのようなへたっぴは追いかけるので精いっぱいになるので、測距点は中央固定。日の丸構図全開で追うことになる。
が、子どもはいつもいつも走りまわっているわけではない。走りながらもなにか気になるものを見つけると、唐突に立ち止まったりする。
さて、被写体が静止した。のであるからシングルAFに切り替える?
面倒くさいよね。
それに切り替え操作をしているうちにまた駆け出すかもしれない。
じゃあ、どうするか?ここはもうコンティニュアスAFで押しとおすしかない。動いていない被写体を日の丸構図で撮る残念さはいかんともしがたいが、シャッターチャンスを逃がすよりはマシだろう。
見れば子どもは花壇の花にとまった蝶を見つめている。せっかくなのでそれも撮ろう。と思うが、AFだと上手くピントが合ってくれない。マニュアルフォーカスに切り替えなくちゃ!
ああもう面倒くさい面倒くさい面倒くさい!
ワタシ的に考えるところの「便利さ」というのは、そういう手間がいらなくなることだ。可能なかぎり、手間を減らしたい。切り替え操作を省きたい。そうすることでシャッターチャンスをより逃がしにくくしたい。
そう思ってあれこれ考えて見つけ出したのが、親指コンティニュアスAFだ。
これを使いはじめたのがいつのことかははっきりとは覚えていないが、キヤノンEOS-1Vを買ったときには最初からそのセッティングにしていたので、たぶんその前のEOS-1Nからだと思う。
EOS-1Nは1994年に発売されたカメラなので、ことによるともう25年ばかり親指コンティニュアスAFを使いつづけていることになる。
ワタシにとっては、とても歴史の深いセッティングであり、それほどまで長く使いつづけてきた理由が「便利」だからである。
親指コンティニュアスAFのセッティングと必要条件について
あたりまえだが、親指AFが使えるカメラである必要がある。
たとえば、フジフイルムのX-T100やX-A5には、MFモードで一時的にAFを作動させる「ワンプッシュAF」機能はあるが、それを割り当てられるFnボタンが上面にあるので操作としてはやりづらい。
中にはシャッターボタン半押しによるAF作動をオフにできないカメラもあるかもしれない。そういうカメラは対象外となるので、そのへんはお使いのカメラの使用説明書などを確認していただきたい。
で、具体的なセッティングは、
- 右手親指位置のボタンにAF作動を割り当てる
- フォーカスモードをコンティニュアスAFに設定する
ぶっちゃけ、この2点のみである。ほとんどのカメラはこれを満たすことができるはずだ。
ただ、条件がふたつある。こちらのほうがハードルは高い。
- 使用するレンズはフルタイムMFが可能であること
- ミラーレスカメラは像面位相差AFのものが望ましい
ひとつ目のは、コンティニュアスAFモードでもMF操作できる必要があるので、メカニカルフルタイムマニュアルな超音波モーター搭載レンズならほぼ問題ないはずだ。
ステッピングモーターのレンズでも、メーカーによってはいける。キヤノンRF、ニコンZはいける。ソニーには裏技が使える機種があって、オリンパスは機種による。フジフイルムもワンプッシュAFにコンティニュアスAFが割り当てられれば大丈夫。ほかはよくわからないので、それぞれご確認いただきたい。
ふたつ目の像面位相差AFが望ましいのは、コントラストAFの場合、コンティニュアスAFでは微妙にピントを行ったり気たりさせつづける動作となるため、AFを作動させつづけないとピントが合わないケースが出ると予想されるからだ。
したがって、シグマfpやパナソニックのシステムとは相性がよろしくない。
親指コンティニュアスAFはどんなふうに便利なのか
さっきの例を思い返していただきたい。
まず、走りまわる子どもを撮るときは、AF作動ボタンを押しっぱなしにする。
コンティニュアスAFが作動して走る子どもにピントを合わせつづけてくれる。あとは、撮りたい瞬間にシャッターボタンを押せばいい。
AFを作動させるためのボタンが変わるわけだが、それ以外はいたって普通なはずだ。
さて、子どもが立ち止まったらどうするか?
ボタンから指を離せばいい。それでAF作動は停止する。ようはフォーカスロック状態だ。
ので、必要に応じてカメラを振る。お好みのフレーミングで、ピントは子どもに合わせたまま撮れる。日の丸構図も避けられる。つまり、フォーカスロック撮影にも対応できるわけだ。
AFでだいたいは合っているけれど、微妙にズレてる、なんてシーンもちょくちょくある。そういうときのためにフルタイムMF機能があるわけで、フォーカスリングを回してピントを微調整すればいい。当然、AF作動ボタンを押さなければ普通にMFということになる。
ぶっちゃけ、遠景だろうがマクロ域だろうがなんだろうが、AF作動ボタンを押して上手くピントが合えばOK。合わなかったらAFをあきらめればいいだけの話で、そういうときにも切り替え操作なしで対応できる。それが親指コンティニュアスAFの便利さだ。
ストロボが必要な暗いシーンをのぞけばばっちりなのだ
さくっとまとめるつもりが、なぜか3,000字を超えていたりするのがアレなところだけれども、ここまで読めば親指コンティニュアスAFがいかに優秀かご理解いただけたはずだ。
ただし、ワタシの知るかぎり、ダメなシーンもあるにはあって、それは暗い条件でストロボを使っての記念撮影だ。
AFが役に立たないぐらいの暗さになると、たいていはMFでもピント合わせはむずかしくなる。最近では星にさえピントを合わせられるカメラもあるが、記念写真を撮るようなシーンではちゃちゃっとやらないといけないことのほうが多いし、それにたいていはAF補助光のほうが有用だ。
が、親指コンティニュアスAFは、コンティニュアスAFであるために補助光は使えない。ので、その手のシーンだけは切り替え操作が必要となる。
とは言え、25年ほども使いつづけてきて、うまくいかないのがそのシーンだけなのだから、文句なしだと思うのだ。
そういうわけなので、もう一度書いておく。
親指コンティニュアスAFはとても対応範囲が広いので、ほぼすべてのジャンルで活用できる。まじめにおすすめである。