最近気になっているのが手持ちでブラケット撮影をやるときのフレーミングがズレる現象。
仕事だと段階露出はよくやるけど、手持ちだとカメラを完全に固定できないので3コマなり5コマなりを撮っているあいだにどうしたってカメラの向きが少しは変わる。
そういうのは手持ち撮影では仕方のない部分なのだけれども、フレーミングまで変わるとなるとちょっと問題なのだ。
ちょうどいい露出であっても画面の隅にいらないものが写り込んでいたらいやだし、空けてあった余白が変に狭くなっていたりするのも困る。で、フレーミングのいいのが明るすぎたり暗すぎたりすると泣けてしまう。
そういうがっかりを減らすのにばっちりなのが連写ブラケットと電子シャッターの組み合わせだ。そもそも露出をバラさない人も多いらしいので需要なんてまったくないかもしれないから、ほんとにお暇な方だけどうぞ、である。
目次
ブラケットを使うのは撮影効率を上げるため
まず書いておきたいのが、どうしてブラケット撮影を行なう必要があるのか、である。
ぶっちゃけ、露出の良し悪しは好みの問題がとても大きいし、画像を見る場の明るさにも左右される。
ミラーレスカメラでもEVF上ではちょうどいい明るさに見えていたのが、再生すると思ってたより暗かった、なんてこともちょくちょくある。
レビュー系の仕事の撮影だと機材を借りられる時間がかぎられるので、なるべく効率よく撮影を行なわないといけない。となると、1コマ撮ってチェックして補正して撮り直し、というのは手間がかかりすぎる。こちらとしては撮影時の手間を減らしてカット数を稼ぎたいの。だからブラケット機能を使うわけだ。
ワタシの場合、0.3EVステップの5コマブラケットを多用する。画面を見て「だいたいこれぐらい」な露出補正をして5コマブラケットで撮っておけば、だいたいはOKな露出のカットが確保できる。露出を決めるまでの時間を削ってスピードを上げる。そういう作戦だ。
手持ちブラケットのフレーミングのズレを減らすには
問題は手持ちだと5コマ撮るあいだにカメラが動いてしまうことだ。さっきも書いたとおり、手持ちだと仕方のない部分もあるとは言え、これが地味に困る。
いちばん手っ取り早いのが、フレーミングがズレる前に5コマを撮り終わってしまう方法。つまり、連写でのブラケット撮影だ。
ソニーα7R IIIだと、ドライブモードの中に「1枚ブラケット」と「連続ブラケット」というのが入っている。
「1枚ブラケット」はシャッターボタンを5コマなら5回押すことでブラケット撮影が完了する。今まではこちらばかり使っていたのだが、5コマ撮るのに時間がかかる分どうしてもフレーミングのズレは避けられない。
一方の「連続ブラケット」はシャッターボタン全押しで一気に5コマ撮れる。カメラを持つ手が安定していなかったとしても、フレーミングのズレはずっと小さくできる。
α7R IIIは10コマ/秒連写が可能だから5コマ撮るのに必要な時間は0.5秒。その分だけフレーミングのズレる量も小さくなる。ばっちりだ。
が、この方法には落とし穴がある。
機構ブレを防ぐための電子シャッターを活用する
連写でブラケットをやるときに気になるのが機構ブレというヤツだ。
問題にされやすいのはメカの先幕シャッターの走行(と言うか、走った幕を停止されるときのショック)によって起きる振動がカメラを揺らし、わずかなブレの原因になる。
機構ブレは低速シャッター時に問題になりやすく、三脚に固定しても取りのぞくことはできないから厄介だ。
これを軽減できるのが電子先幕シャッター。先幕が電子シャッターに置き換わるので機構ブレが起きない。
ただし、連写すると電子先幕シャッターでもブレる。先幕のショックはなくなるものの、後幕はメカなので振動がある。1コマ目の後幕ショックが2コマ目を撮るときにブレになる。そのため、連写でブラケットすると2コマ目以降が全ブレになってしまうわけだ。
もちろん、こういうのはピクセル等倍で見てようやく「あぁ、ちょっぴりアマいかもねぇ」と思えるぐらいのブレなので、普通に撮る分には無視してかまわないと思う。
が、せっかくのα7R IIIである。ローパスフィルターレスの4240万画素機だ。それに解像力自慢のシグマArtレンズの実力をそこないたくもない。と思うとブレは可能なかぎり排除したいのである。
電子シャッターと組み合わせると機構ブレを解消できる
連写のブラケット撮影と機構ブレの軽減の両方を満たすには電子シャッターである。
電子シャッターなら物理的なシャッター幕はいっさい動かない。のでシャッター走行に起因するブレは発生しない。
シンプルかつ確実な方法である。
「連続ブラケット」に「サイレント撮影」を組み合わせればフレーミングのズレは少なくできるし、連写時の機構ブレも回避できる。
露出はいいけどフレーミングがダメ、とか、フレーミングはいいのに明るすぎてダメ、とかを解消できる。まさにばっちりである。
ただし、シャッター音は聞こえないし、手に伝わってくる振動もない。ので、撮ったという実感もまるでない。あんまり楽しいものではない。
が、背に腹は代えられない。撮影効率を重視するなら、そして撮った画像を見てがっかりしないためにはこの方法がベターなわけだ。
ソニー以外のカメラもだいたい設定は同じでいける
ソニー以外のカメラの場合は、ドライブモードとブラケット機能が別々になっている。むしろ、そのほうが一般的だと思う。
オリンパスE-M1 Mark IIだとドライブモードでメカシャッター、電子先幕シャッター(低振動)、電子シャッター(静音)を選ぶようになっているが、フジフイルムやパナソニックみたいに「シャッター方式」で設定するものもある。
いちいち複数の項目の設定を変えるのも面倒くさいので、カスタムモードとかに割り当てておくと便利だ。
まとめ
ようするに、手持ちでのブラケット撮影時でフレーミングがズレるのをマシにするには連写ブラケットがいいけれど、機構ブレが問題になるので電子シャッターを使うといいよ、ってことである。
で、複数の項目の設定をいじるのが面倒くさいのでカスタムモードに登録しておくとらくちんだ。
撮ってる感がないのがいまいちおもしろくないのと、動きのある被写体だと動体歪みが問題になるから、そこは気をつけないといけないが、それ以外はまったく問題なし。自分でも何度かやってみて便利だったものだから調子に乗って記事にしてみた次第である。
ブラケットでばりばり撮るタイプの人なら一度試してみてほしい。