ソニーα7 IIの広角レンズをどうするかあれこれ悩んで考えた末にシグマの14-24mm F2.8 DG HSM Artを選んだ話を前に書いたのだけれども、なのに今回は単焦点の14mmレンズである。
同じシグマの14mm F1.8 DG HSM Art。普通じゃないメーカーの普通じゃない超広角レンズである。
どうしてそうなった?と聞かれるといろいろ説明がむずかしかったりするのだけれど、ともかく手もとにEマウントの14mm Artがあるのは事実である。
でまあ、とどいてからそこそこ時間は経っているのはともかくとして、その14mm Artについてぶつぶつやっていきたい。あまり長くならない程度にね。
ちなみに、前に書いた記事「シグマ14-24mm F2.8 DG HSM Artを手に入れるに至った長いいいわけ」はこちら。
あと、作例画像はクリックすると少し大きく(1200×800ピクセルに)なります。
目次
ポチップ
普通じゃない画角と普通じゃない明るさを兼ね備えた14mm Art
ひと言で表現するなら「変態」である。ヤバいレンズである。
まず、その点はご理解いただきたいと思う。
最近は14mmや15mmからの超広角ズームも増えているとはいえ、それでもやはり14mmの広さは普通ではない。
対角線画角が114.2度もある。水平画角は計算上で104度。部屋の隅で横位置に構えると壁が4面とも写ることになる。
現実には撮影者の体の厚みがあるので4面とも写すのはむずかしいが、実際に部屋の隅に立ってもらえばその変態度合いはわかると思う。
それでいて開放F1.8である。
現行の単焦点14mmは、この14mm Art以外ではキヤノンとニコンにしかなくて、ツァイスのMilvus 15mm F2.8を含めても3本しかないのだが、いずれも開放F2.8である。
数字で言うと1段と1/3。もちろん、世界初にして唯一のスペックだ。
絞りを開ければボケを生かして撮ることはできるが、なにぶんにも被写界深度が深い超広角なので中望遠系の派手派手なボケが期待できるわけではない。
と考えると、F1.8の明るさになんの意味があるのか、って話になるわけだが、そのへんの事実関係については争わない。
なにしろ、明るいだけにサイズが尋常ではない。重さもしゃれになっていない。
フランジバックの短いEマウント機に合わせて鏡胴が伸びている(スペック表にかかれているSAマウントの数字より26mm長くなるのだ)ので、その分だけ重さも増える。
Eマウントの公称値は1,230g。キッチンスケールでの実測値はそれより少し軽くて、前後のキャップを付けた状態で1,224gだった。
ちなみにF2.8クラスの平均値(現行の3本とすでに販売終了になっているシグマとタムロンのF2.8の5本での計算)はちょうど700g。それより500g以上重いのだから、だいぶクレイジーなのがわかると思う。
もっとも、シグマArtレンズのファンは「重さ=性能」と受け止めるような沼的思考の持ち主ばかりだから、4桁の数字を見てもにまにま笑うだけに決まっている。
SIGMA 14mm F1.8 DG HSM Art商品ページ
落ちているのを意識させない周辺光量の落ち方が好き
超広角なうえに明るいレンズなので、絞り開放だと周辺光量は落ちる。
最近のカメラだと周辺光量を補正する機能もあって、それを使うときちんと補正できたりもするのだけれども、落ちたら落ちたでそれも楽しめる。
ただ、落ち方にもレンズによってくせがある。
14-24mm Artの広角端は、公式サイトの周辺光量の特性データからもわかるとおり、画面中央から周辺部にかけて曲線を描いて落ちていく。その分、周辺部の暗さが目立つ。
それがF5.6やF11のラインを見ると、四隅に近いところで、かくん、と折れたように落ちる。そのせいで四隅の暗さが際立ってしまう。ついつい補正したくなる落ち方なのだ。
一方、14mm Artは絞り開放だと真っすぐに近いラインで落ちていく。実写画像で見ると、なだらかに自然に落ちている感じ。素直な落ち味とでも言うのか、円みがあって目に優しい落ち方なのだ。
あくまで個人の感想だけれども、こういう落ち方は好きだし積極的に使っていきたい。
昔のレンズだと絞り開放はアマいから絞らなくちゃならなくて、絞ると今度は光量がフラットになってしまうのがおもしろくなかったりするが、14mm Artは絞り開放でも十分にシャープだし、それでいていい感じに周辺光量が落ちてくれる。
α7R IIIで絞り開放だと画素数が多い分ピント合わせもていねい目にやらないといけないが、拡大AFを使えばだいたいはばっちりだ。
歪曲収差が少ないおかげで気持ちよく構えられる
歪曲収差は数字としては14-24mm Artの広角端のほうがいい。公式サイトのディストーションの特性データを見ると、少しマイナスに振れてからプラスに転じてそれからまだマイナスに振れる。
あまり「素直」とは言えない波打ち方をする。
が、実写画像で見るかぎり、そんなに気にはならないと思う。
むしろ、この画角のこの明るさのレンズでこれだけ歪曲が少ないことのほうが驚きだ。
最近は歪曲収差の補正をカメラ側でやるのもあたりまえになってきているし、実際、シグマのレンズでもContemporaryラインのものは、カメラ内補正を前提にした設計となっている。
そうすることで小型化できたりほかの収差をより高度に補正したりできるといったメリットがあって、その恩恵をありがたくちょうだいしている立場でもある。
けれども、「点は点に、真っすぐな線は真っすぐに写る」のがレンズの基本であってほしいとも思っている。
その理想を可能なかぎり頑張ってくれているのがシグマのArtレンズの素晴らしいところであり、くそ重たい(あ、言っちゃった)のに手放せない理由でもある。
絞り開放からキレのいい描写が周辺部まであるのがすごい
先にいいわけしておくと、絞り開放の周辺光量の落ち方がいいんだなどと力説しておいて、周辺光量補正を切り忘れていたカットがいくつか混じっている。ご了承と言うかご勘弁くださいまし。
この広さと明るさが欲しいなら断固買うべき
正直言って、単焦点の14mmを欲しがる人などそんなにはいないと思っている。まして、1kgを超える重さよりもF1.8の明るさを選ぶ人も多くはないだろう。
が、もしあなたがこの広さとこの明るさに魅力を感じるのであれば、そしてこの重さがそれほど苦にならないのであれば、もう無駄な抵抗はやめたほうがいい。
これだけの画角の広さのレンズで、絞り開放から隅々までシャープな写りをするのに、それがキヤノンやニコンのF2.8よりも安いときてる。
買わずに我慢する理由などありはしない。あれこれ思い悩むだけ無駄。さっさと手に入れてしまうのが身のためである。
ポチップ
↑ポピュラーなキヤノン用。
ポチップ
↑こちらも人気の高いニコン用。
ポチップ
↑Lマウント機にもEマウント機にも対応できるシグマSA用。
ポチップ
↑鏡胴が長い分お買い得感が高い(?)ソニー用。